保護される動物と、駆除される動物(1)
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作成日時 : 2008/06/24 12:55
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奄美大島の瀬戸内町など4町村が野ヤギの生け捕り駆除を予定しているという、5月21日の毎日新聞(鹿児島版)の記事が目にとまりました。それによりますと、奄美大島の野生生物の保護対策を協議する「奄美野生生物保護対策協議会」が5月20日、鹿児島県大島支庁であり、県や各市町村が取り組む今年度の希少種保護対策が報告されました。
その報告の中に、「野ヤギの食害による土砂崩壊や生態系への影響が懸念され、これは奄美の世界自然遺産登録の障害になる」ということが書かれてあり、どうやらそういうこともあって「野ヤギ駆除」が決まったようですね。
ヤギの食害が問題になっているのは、奄美大島だけではありません。似たような被害でいえば鹿の食害も含めると、離島だけではなく全国のほとんどの地域が、鹿やヤギの食害で頭を痛めています。彼らは繁殖力が強くてどんどん増えますから、食糧が不足してくるのですね。そうするといたるところの樹木の皮まで食べるようになります。身ぐるみ剥がされた木々は枯れてしまうのです。樹木が失われると地盤が緩み土砂崩壊が起こりやすくなるのはご承知の通りです。さらに樹木で巣作りする野鳥にも、寄生する昆虫も影響しますし、落ち葉がなくなることで、土の成分も変化してしまいます。生態系への悪影響は計り知れません。
島好き、動物好きの私としましては、これがじつに悩ましい問題なのであります。なぜって人間にとって有害なものは駆除すればいい、そんなふうに単純に考えていいのかなあ、と思うのです。その動物が有害であるか、無害であるかは、大半人間のエゴイズムで決められてしまいます。しかし、人間はすべての動植物を含む自然と、共存共栄しなければならないはずです。そこで、毎日新聞の記事をきっかけに、「保護される動物と、駆除される動物」をみなさんと一緒に考えてみたいと思います。
今日はまず、駆除される側の代表2種のカワイイ顔をご覧いただきましょう。食害といえばヤギと鹿。上は沖永良部島で会ったヤギ。これは野生ではなく飼われているヤギです。色白(!!)の首に緑の首輪がよく似合っています。最初はみんなこのようにカワイイのですが…。下は、五島列島福江島の西端にある島山島という小さな島で見かけた鹿。これは野生で、民家の近くまで餌を求めて下りてきたところですね。ここでは、まだ少数なので被害はあまりないようですが…。
ツシマヤマネコやアホウドリの保護については、本欄でもしばしば採り上げてきました。最近では6月5日に、東京井の頭自然文化園で飼育しているツシマヤマネコ4頭のうち、名前のなかった3頭が、来園者の投票で決まったことをお知らせしました。またアホウドリについては、伊豆諸島の鳥島から新しい繁殖地として選定された小笠原諸島の聟島移住させられた10羽のヒナ全員が、無事巣立ったことを、5月29日にお伝えしました。
ところで、ツシマヤマネコはじめ、多くの絶滅危惧種は国際機関や国、あるいは地方自治体、NPO法人などの手厚い保護を受け、中には奄美大島の「ルリカケス」や、アメリカ・ロッキー山脈に生存するオオカミなどのように成果が上がって、指定解除にこぎつけた動物もあります。あるいは、アラスカのホッキョクグマのように新たに指定されるものもあります(2008年5月14日アメリカ内務省発表)。
いずれにしても、絶滅の危機に瀕する状態に追い込んだ責任の大半(ほぼ100%に近い)は人間にあります。人間の責任において保護すべきものは徹底的に保護しなくてはなりません。しかし、今日お話したいのは、そんな立派なテーマでもありませんし、グリーンピースめいた自己主張の無理強いでもありません。
動物の側に立って、ふと思うことがあるんです。保護されるものが一方にあれば、ほぼ必ず駆除されるものがある、と。人間の勝ち組負け組みなんて下品な分類とは次元がまったく違います。一方は命の存続を助けられ、一方は命を絶たれるのですから。しかも自然の法則によってではなく、人間という動物の一種の都合によって。(この項続く。毎回少し文章が長い、というご批判をいただきましたので、今回から少し短めにすることを心がけます!!)
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