島暮らしブログ

アクセスカウンタ

隠岐中ノ島海士町「地域づくり総務大臣表彰」第1号受賞、順調に進む生き残り作戦

<<   作成日時 : 2008/04/04 16:43   >>

トラックバック 0 / コメント 0

 ボンビバン「ゆっくりと島巡り」の隠岐島連載再開をお知らせした3月22日の記事で、中ノ島海士町(あままち)が、財政再建(島の生き残り作戦)を目指して山内道雄町長を先頭に大奮闘していることを紹介しました。「海士町の山陵で後鳥羽院を偲び、町の生き残り作戦成功を祈る」(色文字列をクリックすると該当ページが開きます)をご覧ください。今日はその続編です。

 海士町は現在人口約2,500人で、そのうちおよそ40%が65歳以上という、過疎&高齢化社会の典型地域となっています。しかし、前回紹介した島をあげての努力は、着々と成果が上がっています。たとえば、都会からのIターン移住者は、2005〜07年の2年間で143人もあったのです。わずか143人と思われるかもしれませんが、この数字は島の人口の約6%に相当するわけですから、かなり大きな数字です。しかも40歳以下の人が大半で、定着率は80%近いのです。これは全国の過疎地、離島の中でも大成功の例だといってもいいのではないかと思います。

 そして今年、海士町は07年度の「地域づくり総務大臣表彰」の大賞第1号に選ばれたのです。3月13日には東京で授賞式も行われました。「島まるごとブランド化」のスローガンを掲げ、「さざえカレー」「隠岐牛」「イワガキ」など地元の特産物を育成して、これを国内外に積極的に販売したこと、県外からの定住希望者を募って、さまざまな事業を立ち上げてきたことなどが評価されたのです。よかったですねえ、ほんとに。
 山内町長は「地産地商」というキャッチコピーを考えました。はじめは「商」は「消」の間違いじゃないかといわれたこともあったそうです。これは、島で作ったものを商品として外に売る、という意味なのです。たとえば食材なら、土地の食材を外から来る人も含めて島内で消費することも大事ですが、むしろ積極的に島外に売っていこうという考え方です。つまり「商」には商う、商業化するという意味がこめられているのですね。町役場にも「地産地商課」があります。

 しかし、これが成功し始めると、たとえば土地の人が自分たちの育てた牛の「隠岐牛」を食べられない、なんていう嬉しいような悔しいような事態も発生しました。流通上の問題なのですが、一度東京へ出した隠岐牛を、東京から島に仕入れなければ、島では食べられないのですね。そういう方法で隠岐牛を提供するお店も今では出来ているそうです!! 
 また「春香」と名づけられた「イワガキ」は、Iターン移住者の鈴木和弘さんが地元の漁師さんと組んで養殖に成功したものだそうです。首都圏への供給が次第に増え、数年後には年間50万個の出荷を見込むまでに成長しました。そのうちイワガキも土地の人は食べられなくなるかもしれませんね〜。

 ところで、島の海産物を島外に売るために、海士町では「CAS(キャス = Cell Alive System)」と呼ばれる「急速凍結技術」を自治体としては全国で初めて導入しました。「CAS」は山内さんの著書に書かれていることを簡単にまとめますと、
「従来の冷凍法と違って、素材を磁場環境の中で一気に冷凍するので、解凍時に細胞が壊れることがなく、旨みが流れ出るドリップ現象もなく、生の歯ごたえや味をほぼそのまま維持でき」、この技術を使うことで、
「島で獲れた高品質の海産物を生に限りなく近い品質で消費者に届けられる」というわけです。
 2004年度に4億円、05年度に1億円、合計5億円という、島としては巨額の設備投資をして始めたこの冷凍事業には、町が90%を出資する第3セクター「ふるさと海士」があたり、首都圏への出荷を始めています。06年秋からはシロイカやイワガキなどの中国輸出にも乗り出しました。もちろん、海士町の戦略は第1次産業分野にとどまらず、ここでは詳しく触れませんが、IT関連などでも着々と手が打たれています。

 こうして結果だけを並べますと、ごく簡単なことのように感じられますが、どっこい、どこでもうまくいくというものではありません。山内町長も「まだ道半ば、海士町の取り組みが成功するかどうかは、まだわからない(著書の前書き)」といわれています。しかし再建、生き残り作戦は着実な第1歩を踏み出し、力強く歩み、大きな成果が見え始めていることは間違いありません。今回のガソリン税のように、地方税のあり方には大きな矛盾がはらんでいて、地方の運営はきわめて厳しい環境にありますが、その中で海士町の官民一丸となった活動は、他の過疎地にはきっと大きな励みになることでしょう。

画像

中ノ島の玄関、菱浦港にある第3セクター「キンニャモンニャセンター」。島の物産の展示、販売、さまざまな島の案内が掲示され、食事もできる「観光センター」のような存在。町役場の「地産地商課」「交流促進課」「産業創出課」の3つの課がここに拠点をおいています。ここは外部の人や物に直接触れ新鮮な情報をいち早く入手できる、島運営の最前線だという考えからです

画像

港側からみた「キンニャモンニャセンター」。フェリーの発着場と一体化されているのがよくわかりますね。センターの建物は木造主体で、温かみがあり旅の人の心を和ませてくれます

画像

菱浦港近くの道路標識。右に「CAS工場」、左に「キンニャモンニャセンター」という、海士町の2大生き残り戦略“センター”が示されています

●ボンビバン ゆっくりと島巡り 隠岐島連載の最新号「後鳥羽院と隠岐中ノ島」は昨日4月3日に掲載されました。ぜひそちらもご覧ください。

テーマ

月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL


コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする

ニックネーム
本 文